LTグループ

企業グループ

LTグループについて調べてみました。

企業グループの子会社、関連会社の関係、概要を知るにはASEAN企業地図が分かりやすいです(→GSR LTグループ)。この記事では自分の理解のためにまとめてみました。

ポイント

  • Lucio Tan → イニシャルLT
  • 主要事業 タバコ、銀行、航空 (LTGの利益の6割がタバコ事業)
  • 関連上場会社 LTG(持ち株会社)、PAL(航空)、PNB(銀行)、VMC(砂糖)
    • PALはLTG子会社でなく、ルシオタン氏が大株主
    • 上場少し関連してる会社:MAC(空港サービス)、MRC(不動産)、PTT(通信、売買停止中)

創業者 ルシオタン

ルシオ・タン氏(Lucio Tan, 1934~)は中国福建省厦門に生まれ、幼いころに家族でセブに移住してきました。8人兄弟の長男で、裸足で学校へ行き、船の荷下ろしの仕事をしました。

時は流れ(家計は比較的楽になったのか)、ルシオタンはマニラのFar Eastern Universityで化学を学びました。が、中退しタバコ会社で働きはじめました。そのタバコ会社でのハードワークが上司に認められ、昇進しタバコ製造、販売、管理など様々な仕事を任されました。

1996年、独立し自分のタバコ会社フォーチュンタバコを企業しました。1975年に販売したホープというブランドのタバコはバカ売れし、その後タン氏のタバコ会社は急成長、フィリピン一のタバコ会社に発展しました。

その後、フィリピン政府の国営企業の民営化の流れで、フィリピンナショナルバンク、フィリピン航空を買収しました。

飲料事業にも進出し、ラム酒タンドゥアイを製造販売しています。また日本のアサヒビールやハイネケンと提携し、ビールの販売も行っています。

フェルディナンド・マルコス(大統領 1965-1986)、エストラダ(大統領 1998-2001)政権と近かったと言われています。

現在、後継者として注目されているのはまだ若いルシオタン3世です(2世は急死)。

Stockbytes – Lucio Tan Success Story

Wikipedia – Lucio Tan

リサールの山小屋から – ルシオ・タンとエミリオ・ヤップ (2009/8/26)

Lucio Tan (Wikipedia)
Lucio Tan iii – Who is Lucio ‘Hun Hun’ Tan III, heir apparent to Lucio Tan? (2023/5/26)

ポートフォリオ

持ち株会社LTGの資料によると、タバコ事業(61%)の利益が圧倒的に大きく、次いで銀行事業(26%)の利益が大きいです。

LTG Analyst Briefing 2022

なお、ここには入っていませんが、フィリピン航空(PAL)もLTグループの主要な会社です。

↓LTGの主要事業。アジア・ブリュワリー(飲料、ビール)、イートン(不動産)、PMFTC(タバコ)、PNB(銀行)、タンドリー(ラム酒)

https://ltg.com.ph/our-businesses/

PSE上場会社

以下は上場しているLTグループの子会社、関連会社です。

LTグループ上場銘柄 (2023/5末時点)

LTG(持ち株会社)、PAL(航空)、PNB(銀行)、VMC(砂糖)などが関連会社です。

MAC(空港サービス)、MRC(不動産)、PTT(通信、売買停止中)も関連は太くはないですが、少し関連してるっぽい会社です。

LTG (LT Group, Inc.) 持ち株会社

LTGは持ち株会社で、タバコ、銀行、飲料などの子会社を傘下に持ちます。ただしフィリピン航空(PAL)はLTG傘下でなく、ルシオタン氏(の別の会社)が株主となっています。

配当利回りは14%とかなりの高配当銘柄となっています。特別配当ですが毎年出ています。 参考 配当利回りランキング

アイザワ証券レポート LT グループ(2023/1/19) 日本語レポート

タバコ事業

LTGの利益の6割をタバコ事業が稼いでいます。

2010年にフィリップモリスと合弁でPMFTC.incを設立。LTグループの出資比率は50%となっています。

マルボロ、フォーチュンなどのブランドで圧倒的なシェアを持っています(かつては90%、最近MightyやWinstonなどを要するJTIにシェアを奪われ7割?)。

タバコ事業は健康被害や税金の引き上げなどの逆風もありますが、人口増加もあり、引き続き気ドル箱事業です。

アジアBiz・比たばこフォーチュンとフィリップ・モリス現法合併へ (2010/2/25)

Primer – ビジネス烈伝/JTインターナショナル 後藤大さん

Wikipedia – PMFTC

JTI Philippines: A Hub for Asia and Beyond (2021/12/29)

たばこ(タバコ、煙草)業界の世界市場シェアの分析

飲料事業

飲料事業子会社にタンドゥアイ・ディスティラーズ(Tanduay Distillers)とアジア・ブリュワリー(Asia Brewery Inc.)があります。

タンドゥアイはラム酒メーカーです。ラム酒販売量で世界一だとか。私はラム酒はよく知らないのですが、タンドゥアイのカクテル?タンドゥアイアイスはよくコンビニで見ます。

Tanduay Rum and Friends – the best rum in the world?

ラムの販売量ランキング【世界】

アジア・ブリュワリーはビールやノンアルコール飲料を製造販売しています。ビールでは、日本のアサヒビールやハイネケンなどと提携しています。

アジアブリュワリーのFBより。アジアブリュワリーの販売している飲料。

参考 お酒銘柄

PAL (PAL Holdings, Inc.) 航空

フィリピン航空はフィリピンのナショナルフラッグです。

もともと赤字体質でしたが、コロナの影響で2021年に経営破綻、破産申請(チャプター11申請)をしました。上場自体は維持されており、(日本のJALの場合と異なり)株券の価値もゼロにならずにすんだ?ようです。

米破産法申請のフィリピン航空、運航継続も再建険しく(2021/9/4)

2022年は既に黒字になっています。

大株主はルシオタン氏のTrustmark Holdingsが約8割、日本のANAが9.5%の株を保有しています。

Public Ownership Report

フィリピン航空の歴史ですが、一時はサンミゲルが買収しましたが、再度ルシオタンが買収したりと何だか紆余曲折してます。

munetomo.club – フィリピン航空の2度目の会社更生法の行方は…

フィリピン航空 外資との提携、生き残りのカギ (2017/10/6)

参考 [ANS] Aソリアノ

PNB (Philippine National Bank) 銀行

フィリピンナショナルバンクは総資産で第4位の銀行です。

ナショナルバンクと名前が政府系っぽいのは、もともと国立銀行として設立された(1916年)名残りのようです。現在のフィリピン中央銀行設立(1949年)後、民営化されました。

参考 銀行セクター 

MAC (MacroAsia Corporation) 空港サービス

マクロアジアは機体整備、陸上業務、機内食など、航空支援サービスを提供しています。

LTグループの持ち分はちょっとだけ?

VMC (Victorias Milling Company, Inc.) 砂糖、持ち分30.9%

ビクトリアミリングはネグロスで砂糖の生産を行っています。1997年、アジア通貨危機で経営破綻し、その後再建処理が進めらています。

参考 [VMC] ビクトリアスミリング

MRC (MRC Allied, Inc.) 不動産

マークアライドは不動産会社ですが、再生可能エネルギーや採掘ビジネスへの投資も行っています。

大株主はMenlo Capitalです。(TODO LTグループとの関連、出資比率は?)

Wikipedia – MRC Allied

ルシオ・タンJr

ルシオタン氏の後継者、フィリピン航空のCEOも務めていた、ルシオタンJr氏が2019年に53歳の若さで急死しました。彼がMenlo Capital という投資ファンドを通して、MRCやPTTに投資していました。

PAL Holdings president Lucio ‘Bong’ Tan Jr. dies (2019/11/11)

PT&T looks to become major telco force in 3 years (2017/10/13)

PT&T urges PSE to lift trading suspension (2018/8/13) PTTは2004年から売買停止

以上、LTグループについてまとめてみました。

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