アグリナーチャーやグリーナジーを経営するアントニオ・ティウ (Antonio L. Tiu)氏の率いる企業グループについて調べてみました。
ティウ氏はデ・ラサール大学を卒業後、小さな農業関連の会社で働きます。その後独立し、アグリナーチャーを創業しました。農業関連のビジネスを中心に、不動産、インフラ、IT、再生可能エネルギーなどに事業を拡大させていきました。

ティウ氏はGREEN2030という目標をかかげています。


- shoheybeatz – GREEN、アグリナーチャーってどんな会社? (2021/3/20) ★
- Business Talk with Antonio L. Tiu, Chairman and CEO of AgriNurture (2020/3/20)
- Who is businessman Antonio Tiu? (2014/10/10)
- Forbes – Antonio Lee Tiu
- Marketscreener – Antonio Lee Tiu
- https://twitter.com/antoniotiu
PSE上場企業
AgriNurture, Inc. (ANI)
アグリナーチャーは農業商社です。野菜、フルーツの輸入、輸出、仕入れ、販売を幅広く行っています。Big Chill、Sugarhouseなどのブランドでフルーツやジュースを販売しています。また、アメリカシアトル発祥のタリーズコーヒーのフィリピンのフランチャイズを展開します。
最近では電子商取引の分野にも力を入れていて、2020年にDFNNからPay8を買収することを発表しました。
AgriNurture acquires 51% of IT firm Pay8 for P377.9M (2020/7/21)
また、アグリナチャーの親会社(Earthright Holdings Inc)は、Binangonan Rural Bank Incという地方銀行に投資を行っています。 この地方銀行は電子マネー発行事業者の一つでもあり、Pay8と合わせて銀行口座を持たない人が電子商取引や融資などを利用できるデジタル銀行的なもの目指しているようです。

なおPay8については、買収が遅れるというニュースもあり、その後どうなっているのかよくわかりません(完了した?)。
以下はANIの長期チャートです。

2009年のIPO後、大きく上昇していますが、カーギルの出資が材料だったようです。
Mr. Stock アグリネーチャー (2013/12/16)
その後しばらく右肩下がりでしたが、業績拡大も受けて2016年から上昇相場に入ります。
TOKINOBLOG – 売り上げ大躍進のアグリナ―チャー社 (2019/8/18)
が、最近は売上も頭打ちになり、2020年はコロナの影響もあり暴落。その後、フィンテック投資、GREEN2030に賛同する投資家の買いもあり上昇もありましたが、2021年はまた下落傾向にあるようです。
今年、7500万ユーロ(10億円ぐらい)のグリーンボンドで資金を調達したとニュースもありました。
AgriNurture receives ‘Medium Green’ rating for 75-M euro bonds (2021/3/30)
資金調達では、SROによる希薄化懸念も株価の重しの一因になっているようです(あと度々計画を変更してあたふたしているイメージ?)。
AgriNurture board ‘confirms’ stock rights offering for the 5th time in three years (2021/8/24)
Greenergy Holdings Incorporated (GREEN)
グリーナジー(と読むのか?)は、再生エネルギー関連ビジネスを行っています。太陽光パネル、バイオマス発電、不動産事業なども手掛けているようです。元々はセミコンダクターの会社でしたが、2008年にティウ氏が買収し社名変更し、今のような形の会社になりました。
GREENは2021年にABS-CBNのU-Payを買収しニュースになりました。U-Payは電子マネー発行事業者(EMIs)の一つです。
Greenergy seals investment in ABS-CBN’s fintech unit (2021/8/2)
また、GREENはDITOとも提携しています。
また、オーストラリアのYakuru Groupにも出資しています。Yakuru Groupは医療用大麻のビジネスを行っています。
その他では昔、バタンガスの土地問題で、ジェジョマール・ビナイ(ベニグノ・アキノ政権の副大統領)氏のダミー会社ではないか?という疑念をかけられていたというニュースがありました。先日調べたタンコ氏も似たような話がありました。
Businessman Tiu says he’s no Binay dummy as alleged in Senate hearing (2014/10/8)
Philippine Infradev Holdings, Inc. (INFRA)
インフラデブは、インフラや不動産ビジネスを行っています。
中国との合弁会社でマカティの地下鉄プロジェクトを受注しています。
マカティ市、アントニオ・ティウ率いる合弁企業に地下鉄プロジェクトを任せる (2018/10/28)
(追記: IRC→INFRAに銘柄シンボル変更)
Ever-Gotesco Resources and Holdings, Inc. (EVER)
追記: テゥ氏のツイッタープロフィールによるとEVERもグループ銘柄のようです(そのうち調査)。ABPってPSE上場企業にはないですが、外国か未上場の会社?
Pioneering digital transformation to achieve inclusive growth. Building Carbon Neutral Vision #GREEN2030 for $ANI $GREEN $INFRA $EVER & $ABP.
まとめ
以上、テゥグループについて調べてみました。フィリピンの多数の農民の生活を豊かにするGREEN2030ビジョンは面白い取り組みだと思います。ただ、ANIの本業の売上が伸びておらず、GREENは売上の前年比はすごいですが、まだ赤字で規模も小さく、最近の株価の動きは軟調です。


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