マニラブリティン、フィルトラスト銀行などを傘下に持つ、ヤップグループについて調べてみました。
創始者 エミリオ・ヤップ
エミリオ・ヤップ (Emilio T. Yap, 1925-2014) 氏は中国の福建省で生まれ、若いころにフィリピンに移住してきました。
第二次世界大戦中は、日本兵にTシャツを売る商売をしていましたが、これがバカ売れで次の商売の元手となる軍資金を貯めました。戦後は、アメリカ軍の払下げ車両を売買する商売をはじめ、1947年に”U.S. Automotive”という会社を設立しました(←ヤップグループの会社の株主によく名前が出てますが、そういう由来で設立された会社)。
その後、様々なビジネスに携わり、1961年にマニラブリティン(MB)、1978年にフィルトラスト銀行(PTC)、1997年にマニラホテル、2002年にセントロエスカラー(CEU)を買収、事業ポートフォリオに加えました。2013年にはForbes資産番付でフィリピンで15位の資産額にランキングされています。
エミリオ氏は、2014年に他界し、現在は息子のバシリオ氏が主なグループ会社の会長を、孫のエミリオ三世氏がマニラブリティンのCEOを務めています。
参考
- How Emilio Yap built his PHP46-billion empire ★ 上記、伝記のネタ元はこの記事
- Forbes – Yap family
- Wikipedia – Emilio Yap
- THE LATE EMILIO YAP & HIS HEIRS
PSE上場企業
グループのPSE上場会社には、PTC、EURO、CEU、MBがあります。
Philippine Trust Company (PTC)
フィリピントラストカンパニー、フィルトラスト銀行(Philtrust Bank)とも呼ばれます。1916年に設立されたフィリピン最古の総合銀行の一つです。アメリカ軍のマッカーサーが使っていた銀行らしいです。
大株主の、Philtrust Realty、U.S. Automotive、Seabreeze Enterpriseなどはヤップファミリーの所有する会社です。
2016年株価が暴騰しているのは再編がらみ?
Euro-Med Laboratories Phil., Inc. (EURO)
ユーロメッド・ラボラトリーズは、製薬会社で、非経口の消毒薬などの化学薬品を製造、販売しています。
また子会社で人工透析センターのHemotek、レストランのCafeFranceを運営しています。
業績、株価ともヨコヨコで株式市場の話題に上ることも少ないようですが、コロナで急騰したときは、業績の寄与はないから注意というニュースがありました。
Centro Escolar University (CEU)
マニラに3つのキャンパスを持つ私立大学です。総合大学で様々な学部がありますが、歯学部が有名らしいです。2015年にラスピニャス大学を買収して規模を拡大しましたが、その後の売上は伸びてないというか、減少傾向に見えます。
Wikipedia – Centro Escolar University
Manila Bulletin Publishing Corporation (MB)
マニラブリティン出版は、マニラブリティン新聞を発行している出版社です。マニラブリティンは、1900年発行開始で、英字新聞でフィリピン最大の発行部数です。紙の新聞の宿命か、売上は年々減少しているようです。Web版もあります。
Wikipedia – Manila Bulletin (アイキャッチ画像はここから)
その他参考
以上、ヤップグループについて調べてみました。なお、ゴティアヌングループと名前的に関係がありそうな(ゴティアヌン・ヤップ、フィルインベストとか)感じもしましたが、親戚だったり、資本関係などの情報は見つかりませんでした。
持ち株会社は上場していないので、事業ポートフォリオの全体の構成は不明ですが、上場会社の業績はどれも何かパッとしない感じで、グループ全体の勢いは後退している印象を受けました。
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