コングロマリットディスカウントと子会社上場

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ルシオ・コー氏率いるCOSCOキャピタルの子会社Keeper Holdingsが裏口上場することになりました。

KeeperはCOSCOグループの蒸留酒の輸入販売を行う子会社です。

プレゼン資料2021 1H より

COSCOグループの中では売上、利益で以下の割合を占めています。

参考 COSCOグループ

親子上場

フィリピンって親子上場多いなぁとよく思います。

日本も親子上場が比較的多い市場らしいですが、企業ガバナンスの強化?などの理由から親子上場は解消する方向に進んでいます。親子上場企業数は日本では6%ぐらいらしいですが、フィリピンだとたぶん20%くらいあるんじゃないでしょうか?(体感)

政府の未来投資会議のデータをもとに岡三証券がまとめた資料によると、親子上場企業数がその市場に占める割合は、米国0.5%、英国0%、フランス2.2%、ドイツ2.1%に比べて、日本は6.1%となっている。

日本市場全体で親子上場する企業数は09年度の420社から18年度までに285社へ減少してきたものの、「依然としてコーポレートガバナンスの観点から海外投資家を中心に批判が多い」

内需株に広がる親子上場解消、東証市場改革 (2019/12/17)

コングロマリット・ディスカウント

また、フィリピンの上場会社はいろんなビジネスを行っている、持ち株会社的な会社が多いです。事業を多角化させている会社はコングロマリットと呼ばれるのですが、コングロマリットは市場から評価されない、株価が安くなる傾向があるようです。

多くの産業を抱える複合企業(コングロマリット)の企業価値が、各事業ごとの企業価値の合計よりも小さい状態のこと。多角化は業績変動を減らすなどの利点がある一方、事業の全体像や相乗効果が見えにくい場合は市場評価を下げやすい。

コングロマリット・ディスカウントとは 多角化の評価難しく

子会社の上場は、このコングロマリット・ディスカウントを解消する一つの方法であるらしいです。

全く異なるビジネスが同じ会社に混在しており、リスク分散の観点や企業価値の緻密な計算が難しいことから投資家はこのような状態を嫌うわけです。時価総額を上げるには、この状態を解消し、親子上場するのが一番良いい方法かと思います。

楽天にコングロマリットディスカウントが適用されなかった場合

子会社を上場させたがるのは、単に上場で資金調達をしたいというだけでなく、コングロマリット・ディスカウント解消で、グループ全体の企業価値を高める=株価を上げる手でもあるんですねー。

なお、Keeperの裏口上場自体は新しい材料ではなくて、着々と準備されてきたんですが、実際に公募の条件(株数、値段の幅など)が決まって上場秒読みになった、というのが昨日のニュースです。

Material Information/Transactions (2021/10/29 12:11PM)

このニュースを受けてかCOSCOの株価は(全体地合いが軟調な中)少し強かったです(+1.16%)。

Investagrams COSCOの中期チャート。5ペソ前後で1年以上ヨコヨコ

追記 バリュエーション EPSは0.8ペソぐらい

2020年度の年次レポートでCOSCOのEPSは0.85ペソ、PBR15.79ペソでした。株価5.1ペソならPER6倍、PBR0.3倍ぐらいの評価となります。2019年はEPS1.65と例年に比べて2倍の利益になっていますがこれは子会社売却の特別利益で、EPS0.8ぐらいが現状の利益水準ぽいです。

3Q決算レポートのPSE EDGEの表示で、過去12カ月EPSが1.51となっていますが、謎です。

2021 3Q のPSE EDGE表示

COSCOグループの売上の大半はPGOLD(とS&R)ですが、コロナの影響で2020年から苦戦。ショッピングモール内のスーパーよりは条件はマシ(屋外のスーパーで生活必需品なので閉鎖されてはいない)ですが、それでも売上減少しています。2021年はあと四半期でそれほど利益が大きく変化するとは思えませんが、パンデミック明けの来年に期待です。

2021 3Qレポートより。Net Ticketって何?

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