上場会社のフィリピン証券取引所(The Philippine Stock Exchange, Inc. 証券シンボルPSE)について調べてみました。
- 証券取引所自体が一会社として上場しており取引可能
- 収入内訳は、上場会社からの収入が43%、証券会社(投資家)からの収入が26%くらい
- 空売り解禁、株式取引税引き下げ法案などの材料
事業内容
フィリピン証券取引所は、会社が上場し、投資家が上場会社の売買を行う取引所ですが、この取引所自体も一会社として上場しています。
上場会社からの手数料、証券会社からの手数料が収入です。収入の内訳は以下のようになっています。カッコ内の%は全体1535Mに対する比率です。
金額の大きな項目は以下のものです。
- ①Listing filing fees: 406M(26%) 新規上場時の手数料
- ②Listing maintenance fees: 226M(17%) 上場会社の毎年の手数料
- ③Transaction fees 145M(9%) 売買手数料
- ④Settlement and clearing fee 319M(20%) 清算・決済手数料
- ⑤Data feed fees 196M(12%) データ配信料
このうち①と②は上場会社が払う手数料で、合計43%程度。そんなに件数多くないのに、新規上場時の手数料がけっこう比重が大きいようです。これは上場会社が増えれば増加します。
③と④は(たぶん)証券会社が払う手数料です。投資家が売買の度に払うPSE fee 0.005%が③、SCCP fee0.01%が④に充当されるのだと思います。投資家からの収入が③と④で合計26%ほどです。これは市場全体の売買代金が増えれば増加します。日本のJPXの場合40%程度が取引関連の収入(JPXレポート)らしいので、それに比べると26%は少ない比率ですね。
バリューエーション
2022年間レポートによると、EPSは9.11、BPSは67.94です。直近配当(2022年業績を元にした2023年分)は10ペソでした。現在の株価160ペソで計算すると、PER17.5倍、PBR2.3倍、配当利回り6.2%となります。
ここ数年、売上も利益もあまり成長してないのに成長株水準のやや割高なバリュエーションのような気もします。ただ、よっぽどおかしなことをしない限り、長い目で見て売上が伸びていくのは間違いがないのではないでしょうか。
配当方針は配当性向50%で、株価の値下がりもあってそこそこの配当利回りになっています。
無借金。
時価総額と株価
時価総額は約130億(13B)ペソで、中型株です。
長期チャートを見ると、2013年以降右肩下がりトレンドです。
直近1カ月の証券会社ごとの売買手口を見ると、トップが買いUOB-KAY、売りUPCCと見慣れない名前の証券会社でした。
Wikipedia – UOB-Kay Hian シンガポールの会社らしい
資本構成
浮動株比率が65.73%と高め。大株主は企業年金や公務員年金(GSIS)が名前を連ねています。(TODO Premier Capital Venture Corp.って何だろう?)
PSEの子会社、関連会社には以下があります。
取締役、経営者
会長はホセ・パルド(Jose T. Pardo)氏。元財務大臣で、2011年からPSE会長を務めています。上場会社ではJGS、SEVN、DELMの取締役も務めています。
MarketScreener – Jose T. Pardo
CEOはラモン・モンソン(Ramon S. Monzon)氏。2017年からCEOを務めています。
その他
ここ数年売上が伸び悩んでますが、将来的には上場会社数も売買代金も増えるはず?バリュエーションで割安というわけでもないですが、配当利回りで買っていける水準な気もします。
その他の材料として、長らく検討されていた空売りの解禁はようやく実現しそう?また、株式取引手数料の引き下げの法律なども提出され、実現すれば売買代金が増加するのは間違いないでしょう。
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