アイオニクス(Ionics, Inc.、証券シンボルION)について調べてみました。
最近短期で株価が2倍になったIONですが、IONって聞いたこともない、いったい何の株なんだろう?と思って調べてみました。NVIDIA決算後のイケイケ相場に小型株適当に買い上げてるのかと想像していましたが、業績好調で割安、配当も出しているようです。
ポイント
- EMS業績好調、PER 4.0倍、PBR 0.29倍
- 不動産収入も多い
事業内容
アイオニクスは電子部品の製造会社です。
多種多様な電子機器を受託製造していますが、セグメント情報を見ると、Computer Peripherals(コンピュータ周辺機器)、Consumer Electronics、Telecomの順で利益が大きいです。
Youtube会社紹介動画 Ionics EMS Inc (アイキャッチ画像はこのビデオから拝借)
輸出地域では、アジア向けがほとんどです。米中摩擦でアメリカ向けの輸出が増える的な傾向はアイオニクスではないようです(むしろ減ってる)。
取引先(受注元)は新規顧客のイスラエルの企業が49%で大きな割合を占めています。
また、不動産賃貸の利益が比較的大きく、不動産子会社IPI(Ionics Properties, Inc.)の利益が全利益の約半分ほどあります。アイオニクスが土地や建物を所有しており、他のEMS企業にレンタルしているのだと思います(たぶん)。
バリュエーション (株価の割高判断)
アイオニックの決算レポートですが、USドル表記になっています。PSEEdgeのサイト上の数字だと、EPSもドル表記だと小さすぎて切り捨てでゼロ表示になってしまっています。EPSを知りたいだけの場合でもPDFをダウンロードして探して計算しないといけない面倒・・・
PDFの資料から計算すると、EPSは0.3ペソ、BPSは4.12ペソとなります。現在の株価1.2ペソで計算すると、PER 4.0倍、PBR 0.29倍となります。
株数 = 発行済株数 857975 – 金庫株 34903 = 823072株
EPSとBPSの計算 17-A 2022より
EPS(一株利益) = 税引後利益 4449USD ÷ 株数 823072 = 0.0054USD ≒ 0.3ペソ
BPS(一株資産) = 純資産 60757USD ÷ 株数 823072 = 0.0073USD ≒ 4.12ペソ
配当は0.1ペソで、配当利回りは8.3%となります。ただ、配当は長年出してなかったのを2023年にいきなり出して、来年以降配当があるのかは不明です。
時価総額
時価総額は約10億ペソの超小型株です。
資本構成
大株主は Aqua Holdingsで、アイオニクスの創業者で会長のLawrence C. Qua氏が、同じく会長を務めている会社です。
株価推移
最近の株価を見ると、2023/3/14に配当を発表(0.1ペソ)。これが大きな配当の上にずっと無配だったのでサプライズで大幅上昇しました。が、その後全戻し。
その後、2022年の年間レポート発表(4/14)、2023年1Qレポート発表(5/16)の後ぐらいから大幅に買われて、株価は短期で2倍になっています。
最近一カ月の買い手口(1Q決算後誰が買ったのか)を見ると、BPIがダントツで、22.4M株を買っています。
まとめ
以上、アイオニクスについて調べてみました。
今後の業績について、顧客企業の業績に左右されると思いますが、顧客名は資料から見つからず、今後の業績は維持できるのかよくわかりません。
また利益の中で不動産(土地や建物の賃貸?)の割合が高かったです。
お金が余ってるからと本業と無関係の太陽光発電に投資、みたいなことをしないのは、地に足のついた経営をしている感じはします。
配当を毎年利益の何割とか決めて出してくれるとよいのですが、来年以降どうなりますか・・・
参考
履歴
7/30 アイオニック→アイオニクス にカタカナ表記変更
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