メディアセクターの銘柄について調べてみました。
フィリピンのメディア
メディアごとの特徴
少し古い資料ですが、よくまとまっているサイトがあったので、この資料をもとにフィリピンのメディアの概要について見ていきます。
Media Ownership Monitor Philippines (2016) – Media
フィリピンのニュースメディアは大きく分けてTV、ラジオ、オンライン、紙媒体があります。

TV
- 政治情報についてメディアの中で最も影響力がある
- シェアは寡占状態で、ABS-CBNとGMAの2大ネットワークが9割以上のシェア
- →ただし2020年にABS-CBNがTVとラジオの放送免許を停止になり、GMAの一強状態に
ラジオ
政治情報について2番目に影響力があるメディア
- FM(90%)の方がAMよりよく聞かれる。FM曲は主に音楽、AM局はニュース、ドラマなどの情報がコンテンツになっている。
- AM局の方が寡占されている。2016年の調査ではDZMM 630(ABS-CBN) 24.9%、DZBB(GMA) 22.3%、DZRB 738(政府放送) 22.3%、DZBH 666(MBC) 15%。
- MBC(←上場会社)のAMはシェアは4位だが、衛星を使った唯一の全国をカバーした放送
オンラインニュース
- フィリピン人の約半数がインターネットユーザー(2016年)
- →総人口の68%(2022年) フィリピンのデジタルマーケティングトレンド2022
- 政治情報についてTV、ラジオについで3番目に影響力がある。ネットニュースは役に立つが真偽が怪しいと考えるユーザーが多数。
- フィリピン国内だけでなく、2400万人のOFW(海外出稼ぎ労働者)がネットニュースを見ている
新聞
- 紙の新聞を読んでいるのはフィリピン人の10%のみ
- 新聞の形態は大きさでタブロイド判(小型で安い)とブロードシート判(大型)に分かれる。タブロイド判の方が販売数が多い。ブロードシート判はすべて英字新聞。
マスメディア株は外資規制業種
フィリピンではメディア株は外資規制の対象で外国人は株を購入することができません。Services – Mediaセクターの普通株は外国人持ち株上限が0%になっていて、外国人が買うことはできません(発注できません)。
ただし、ABSとGMA7については議決権のないPDRが発行されており、外国人でもPDRを購入することができます。(ABS→ABSP、GMA7→GMAP)
上場銘柄一覧
PSEセクター分類で、セクターServices、サブセクターMediaの銘柄一覧は以下になります。この中で日本人(外国人)が購入できるのは、GMAPとABSPのみです。

GMA7 (GMA Network, Inc.)
GMAネットワークはフィリピン最大のメディア会社です。証券シンボルはGMA7、外国人が投資可能なPDRはGMAP(GMA Holdings, Inc.)です。
フィリピンの民放TV・ラジオは、ABS-CBNとGMAの2強という状態が長く続いていましたが、反ドゥテルテ色の強かったABC-CBNが2020年に放送免許停止となり、現在GMAの一強状態となっています。
収入はTV・ラジオの広告収入です。
他にインターネットニュースサイト、海外向けの放送もありますが、売上のほとんどは国内のTV・ラジオとなっています。
業績は昨年の選挙が終わって2022年3Q以降収入減で、株価も冴えません。
参考
フィリピンでナンバー1のテレビ局GMAネットワーク (2021/8/18)
ABS (ABS-CBN Corporation)
ABS-CBNはロペスグループのメディア会社です。
証券シンボルはABS、外国人が投資可能なPDRはABSP(ABS-CBN Holdings Corporation)です。
フィリピン最大の総合メディア会社でしたが、2020年の放送免許停止以来、事業再編中です。TV・ラジオ以外の事業もありますが、主力のTV・ラジオが再開できず2019年以降赤字です。
ラジオについてはPRIM(Prime Media Holdings)とジョイントベンチャーを設立する発表が最近ありました
ABS-CBN ANNOUNCES CHANGES FOR TELERADYO (2023/5/23)
MBC (Manila Broadcasting Company) ラジオ
マニラブロードキャスティングはラジオ局です。外国人は購入できない銘柄です。
AM、FM放送をしており、DZRH, Love Radio, Yes FM, Easy Rock, Aksyon Radyo, and Radyo Natinなどのラジオ局を持っています。
参考 https://manilabroadcasting.com.ph/our-brands/
その他にイベント事業を行っており、Manila Bay Seasports Festival、Aliwan Fiesta、Manila Bay Clean-Up Run、MBC Chorale Competitionなどのイベントを開催しています。
MB (Manila Bulletin Publishing Corporation)
マニラブリティンは新聞社です。ヤップグループの会社でU.S. Automotiveなどが大株主です。外国人は購入できない銘柄です。
マニラブリティンはフィリピンの代表的な英字日刊新聞です。
その他
以上、メディア株についてまとめてみました。外国人が買える銘柄がGMAPとABSPしかないので、何か微妙・・・普段ツイッターで流れ来るニュースで、配信元の政治的立ち位置、バイアスなものをンドを知っておけば、もっと冷静にニュースが読めるかもしれないですね。以下その他メディア関連の情報あれこれメモ。
- Philippine Daily Inquirer(オンラインニュース):サンミゲルグループのラモンアン氏が2017年に買収
- Rappler(オンラインニュース):反ドゥテルテ、麻薬撲滅戦争を批判する論調が多く、2022年に閉鎖命令が出たが、保留中。共同設立者で編集長のマリア・レッサ氏は2021年ノーベル平和賞受賞。
- The Philippine Star(オンラインニュース Wikipedia):株主 MediaQuest Holdings (51%)-PLDT
- ロペス財団VSマルコスから見る、フィリピン麻薬撲滅戦争の今後の行方(2020/10/19) ロペスグループABS-CBNが反ドゥテルテな歴史的背景
- Martin Romualdez(wikipedia): Manila Standard(新聞)などいくつかのメディアを保有
- bilyonaryo.com(オンラインニュース) :株系ニュースでよく見るここはどこ系?
- Media Ownership Monitor Philippines (2016) – Family Affairs
- BBC – Philippines media guide (2022/10/19)
- Wikipedia – Mass media in the Philippines
- Mr. Stock メディア・通信セクター
- BIZLAB フィリピンの主要テレビ局・新聞メーカー・出版社15選 (2022/10/2)
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