AB Capital Advantageの機能で全銘柄のPERを一覧できます(最近知った)。この中でPERが異様に低い銘柄がいくつかあるのですが、その中の一つ、ACE (Acesite (Phils.) Hotel Corporation)のPERが低い理由を調べてみました。
ACEはThe Manila Pavilion Hotel(マニラパビリオンホテル)というフィリピンの一等地(?)にあるカジノホテルを所有、運営している会社です。
このホテルですが、2018年に火災を起こし、現在改装中です(完成は2022年以降のようです)。
Wikipedia – 2018 Manila Pavilion Hotel fire
PSE EDGEのfinancial reportのページを見ても、売上(Gross Revenue)はゼロです。が、収入(Income)はあり、結果EPSは1.90、株価1.65ペソから計算するとPER0.86倍という異様な数字になっています。
年次レポートを見てみると、REVENUEはゼロです。内訳のROOMもFood and bevarageもなにもかもすべてゼロです。なにせホテルが閉まっているのですから・・・
で、収入はというと2020年度に8.5億ペソ相当の保険収入があります。
火災や操業停止での保険収入のようで、2020年は8.5億ペソ、残りは1.3億ペソらしいです。
株価をチェックしてみると、7月に急騰してますが、何でしょう?何か材料があったのかもしれませんが(←こういう時にさっと材料を調べられないのがもどかしい)、全戻ししてますね。
なお、ACEの親会社は55%の株券を保有するWPI(Waterfront Philippines, Incorporated)です。WPIはセブやダバオでカジノホテルを運営してますが、(たぶんACEからの収入で)こちらも異様な低PERになってます。
symbol | 時価総額 | 浮動株比率 | 売上 | 収入 | 資産 | 株価 | EPS | BPS | PER | PBR |
ACE | 6 | 44.29% | 0 | 8 | 33 | 1.65 | 1.9 | 5.69 | 0.9 | 0.3 |
WPI | 13 | 53.22% | 11 | 8 | 152 | 0.53 | 0.15 | 3.76 | 3.5 | 0.1 |
というわけで、コロナ禍で、業績苦しいカジノリゾート業界で、ACE(および親会社のWPI)のPERが異様に低いのは、保険収入の一時金が理由でした。
アイキャッチ画像は火災の時のニュースより
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