[VITA] バイタリッチ

銘柄調査

鶏肉生産と飼料メーカーのVITAについて調べてみました。

業種

Vitarich Corporation (バイタリッチ、証券シンボル VITA)は、飼料と鶏肉の生産販売を行っています。

会社Webサイトより

VITAでは事業内容をfood、feed、farmの3つのセクターに分類しています。

  • food 鶏肉の販売
  • feed 鶏や豚のエサ(飼料)の販売
  • farm 鶏のヒナやめんどりの販売

VITAのfoodセクターは肉で、豚インフルエンザの影響で豚肉の消費が減ると、鶏肉生産のVITAには恩恵があるようです(ただし豚のエサの飼料セクターにはマイナスの影響)。フィリピン人は豚も好きですが、鶏肉も大好きで大量に消費されます。人口増加、コロナからの回復で消費も拡大していくでしょう。

Poultry sector bright spot for agricultural growth – Dar (2021/8/30)

競合他社では、サンミゲル食品やユニバーサルロビーナなど大手がいます。鶏肉生産の国内シェアや推移みたいなのがあるといいのですが、ちょっとググっただけでは見つかりませんでした。

Principal competitors of the Company are San Miguel Corporation (B-Meg), UNAHCO, Cargill, New Hope, CJ Feeds, CP Feeds, Philmico, Uno Feeds and Inoza Feeds for the feed business. Key players in chicken business are San Miguel Corporation (Magnolia), Bounty, Foster, Danway, CP, Sustamina and Leong hup.

年次レポートより

同国における主要ブロイラー養鶏業者としては、サンミゲル・フーズ社(San Miguel Food Corp)、スウィフト・フーズ社(Swift Corp)、タイソン・アグロ・ベンチャーズ社(Tyson Agro Ventures Inc)、ユニバーサル・ロビナ社(Universal Robina Corp)およびバイタリッチ社(Vitarich Corp)などが挙げられ、これらの大手ブロイラー養鶏業者で同国内のシェアの約80%を占めるとされている。

ほかの大手ブロイラー養鶏業者を見ると、ユニバーサル・ロビナ社は1954年に設立されたコーンスターチの製造工場から、養鶏・養豚、飼料および食料品などのアグリビジネスへ事業を拡大してきている。また、バイタリッチ社は1950年に設立された飼料会社からスタートしており、大手ブロイラー養鶏業者のほとんどは、生産から加工、販売まで行うインテグレーターである。

東南アジアにおけるAIの発生とフィリピン鶏肉産業の動向 (2006)

VITAは2007年に業績不振で民事再生法の適用を受け、2016年に民事再生を完了しました。

Vitarich exits 9-year corporate rehab plan (2016/9/19)

なお、Vitarichはビタリッチではなく、バイタリッチと発音するようです。vitaminの英語の発音はビタミンじゃなくてバイタミンですね。

業績

2016年ぐらいからの売上高を見ると、順調に増加しています。ただし、2020年はコロナで落ち込んでいます。

直近の四半期レポートでは落ち込んだ2020年比で売り上げで+19%、利益で+758%と急激に業績が伸びています。

2021年上半期の業績。四半期レポートから作成

前年2020年はfoodとfarm部門は赤字でしたが、黒転して急回復しています。feed部門の利益は前年比-49%になっていますが、これはaqua feedという魚のエサの商品にかけた費用(開発費用と宣伝広告費?)によるものです。

懸念材料の一つは、飼料の原材料となる小麦や大豆などの穀物価格の上昇です。日本でも豆腐の値段が上がるぐらいの穀物価格上昇が大きな懸念となっています。VITAでは穀物を自分の畑で作ってるわけではなく、買っているので、すでに買っている在庫分は値上がりの恩恵を受けますが、それ以降はうまく価格転嫁していく必要があります。

Sources of Raw Materials
The raw material components of feeds represent the most significant cost component of the Company’s operations. Major raw materials of the feed business of the Company are corn, wheat, soya, and rice bran. The Company purchases these materials locally from traders. There are also times that the Company imports these materials from Australia, North and South America, India, and Pakistan. It is also continuously undertaking programs to substitute traditional grains with materials considered as byproducts.
High cost of major raw materials such as wheat, corn, oil and soybean meal makes it
imperative for the Company to source alternative (and non-traditional) raw materials such as food byproducts and other protein sources.

年次レポートより

その他、工場から出る糞尿問題などもあるようです。

配当、バリュエーション

無配で、配当はありません。民事再生完了が2016年で、それから5年たっているし、もう少し業績が上がって安定すれば配当もあるかも?

EPS(直近12カ月)が0.09、BPSが0.55。株価0.8ペソで計算すると、PER8.88、PBR1.45となります。上半期並の好調が続けばEPSはもう少し上がりそうですが。

企業規模と株主構成

時価総額は24億ペソ(約53億円)で、小型株です。

株主構成は以下のようになっています。

PORより

48%を保有するKormasinc, Inc.は民事再生で債権者の債権を株にして保有しています。ちょくちょく株を売っていて株価の売り圧力になっているように見えます。ただ安いところでは買ってもいます。

23%を保有するChocoholic Holdings, Inc.(チョコレート中毒?名前がかわいい)は、VITAを経営しているSarmientoファミリーの持ち株会社?だと思います(たぶん)。

Sarmientos to retain control of Vitarich (2013/9/25)

あと、インサイダー取引では、取締役の一人のJuan Arturo氏が2021年に入ってコツコツと買ってます(去年は売ってましたが)。アメリカのUCバークレーで2つの博士号をとって難しそうな本も書いてる秀才らしいです。内部事情も知ってる秀才が身銭を切って株を買ってるなら業績は明るいかもしれません(知らんけど)。

年次レポートより

あと、株主リストのPCD Nomineeの証券会社内訳をみると、私も使っているABキャピタルが第2位にいます。ABキャピタルって売買シェアそんなに高くないのに個別銘柄の株主上位に出てくるなんて珍しいですね?

過去1年の株主リスト100より

株価推移

長期チャートを見ると、なかなか酷いチャートになっています。民事再生完了の2016年ごろから盛り上がってますが、最近はまたジリ下げになってます。

業績が上向き、株価がジリ下げの傾向が続くなら、どこかで株価は上向きになるはずです。それがいつになるかはわかりませんが。配当が出てれば、長く持ち続けるのもいいかなーという気もするんですが。

以上、VITAについて調べてみました。アイキャッチ画像は会社Webサイトより。

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