[MONDE] モンデ・ニッシン

銘柄調査

フィリピン長者番付を見てたら、モンデ・ニッシンの人が何人も入ってました。同じ会社で何人もランクインって珍しいね?ふと、モンデ・ニッシンって、”Lucky Me!の会社”でしょぐらいしか知らなかったのもあり、少し調べてみることにしました。

ポイント

  • Lucky Me!など国内即席麺で圧倒的なシェア
  • IPO資金をつっこんだ欧州の代替肉は苦戦

今回新たに分かったこと

  • 創業者、会長兼筆頭株主はインドネシア国籍
  • ニッシンという社名、似てるのは即席麺の日清食品というよりはビスケットの日清製菓
  • 本社はマニラ郊外、サンタローザ

事業内容

モンデ・ニッシン(Monde Nissin Corporation、証券シンボル MONDE)は、食料品メーカーです。

インスタントヌードルのLucky Me!はフィリピンで圧倒的なシェアを持つ国民的インスタントヌードルです。また、Quornという代替肉ブランド製品を海外、主にイギリスで販売しています。

Annual Report 2022
Annual Report 2022

製品は大きく、フィリピン(および周辺アジア向け)向けのAPAC BFB (Asia-Pacific Branded Food and Beverage Business)と海外向けのMeat Alternativeに分かれます。なお、Meat Alternative(代替肉)とは動物の肉を使わない、植物性タンパク質で作られた肉っぽい食べ物のことです。

代替肉とは何か?ビヨンドミートは何がすごい?

代替肉事業が苦戦

上の図ではQuorn/CauldronがMeat Alternativeで、その他がAPAC BFBです。左下に2022年の売上とり利益のグラフがありますが、Meat Alternativeが苦戦していて赤字なのが分かります。

17-A 2022 P180 

2021年のIPOで得た資金も投資して力を入れていたのですが、コストも上がっていますが売上も伸びていません。2022年年間決算ではMeat Alternativeの減損処理を計上してます。

日清食品との関係?

モンデ・ニッシンという社名のニッシンと聞くと、カップラーメンで有名な日清食品を思い浮かべてしまいますが、モンデニッシンと日清食品には何の資本関係もありません。日清食品はユニバーサルロビーナ(URC)と合弁でフィリピンに進出しており、即席めん市場では商売敵です。

モンデ・ニッシンのニッシンという名前は、即席めんで有名な日清食品の名前のパクリなのでは?という話をたまに聞きますが、名前の由来は日清食品ではなく日清製菓の方が有力のようです。

日清製菓はビスケット菓子「バターココナッツ」のヒットで有名な会社で、1966年~1969年にモンドセレクション賞を3回受賞、日本でモンドセレクションという賞の知名度を上げた製品でもあったとか。バターココナッツはアジアにも展開していました。

モンデニッシンの前身は1979年創業のMonde Denmark Nissin Biscuit Corporationで、最初はNisshin Butter Coconut BiscuitsとNisshin Watersというビスケットの販売をしていました。

おそらく当時売れていた日清製菓のバターココナッツの名前をなんとなくもじって社名をつけたのではないでしょうか。なお、以下のブログでは日清製菓が技術供与、正式にライセンスを結んで販売したというコメントもあります(ソース不明、会社Webサイトでは日清製菓に関する記述は見当たりませんでした)。

参考

本社はラグーナ

モンデ・ニッシンの本社はラグーナのサンタローザにあります(マニラ以外の会社は珍しい)。ここには製粉工場もあります。セブやダバオにも製造拠点があります。

17-A 2022

参考 フィリピン株本社マップ

バリューエーション

2022年の年間決算は、EPSは-0.72(赤字)、BPSは2.9でした。配当は2022年は0.14ペソ。現在の株価8.59ペソから計算するとPERは赤字、PBRは2.96倍、配当利回りは1.6%となります。

17-A 2022

上場前の2020年はEPS0.56で、このEPSで計算するとPER15.3倍程度です。PBR2.9倍は依然成長株評価ですが、即席めんで圧倒的なシェアをもっていてこの水準なら安い?

資本構成

株主構成はけっこうわかりやすく、一族の持ち株会社的なものはなくて、数人の主要な取締役が直接株を保有しています。フィリピン長者番付に何人も登場しています。

Public Ownership Report

  • Hartono Kweefanus (23.45%)(73才) 名誉会長 forbes#15 インドネシア国籍
  • Hoediono Kweefanus (5.28%)(71才) 副会長 インドネシア国籍
  • Betty T. Ang (18.18%)(68才) 社長 forbes#20 Hoedionoの妻
  • Henry Soesanto (8.62%)(71才) 副社長、CEO forbes#27 Monica Darmonoの夫
  • Monica Darmono (4.26%)(68才) インドネシア国籍 

インドネシア国籍の3人は兄弟、姉妹です。父親はHidayat Darmono、(たぶん)モンデニッシン創業者の一人で、彼はインドネシアでKhong Guanというビスケット会社を設立しました。

ベディー・アンはHoediono氏の妻、ヘンリー・ソエサント氏はMonica Darmonoの夫で、大株主は血縁関係があります。

Forbesの長者番付はインドネシア国籍の人たちは、Hartono Kweefanus & Familyでおまとめされてしまっています。

Monde nissin chairman, Filipina president trapped abroad by the pandemic (2021/3) モンデニッシン企業時の話

株価チャート

上場したのが2021年6月1日で結構最近です。公開価格13.5ペソでした。

https://www.investagrams.com/Stock/PSE:MONDE

上場後、すぐにMSCI追加(2021/12/1)、FTSE追加(2021/12/20)と指数追加も後押しで20ペソまで上昇しました。翌年PSEiにも追加(2022/2/14)。が、その後株価は軟調、2023年にはMSCIとFTSEからは除外されてしまいました。

小麦などのコスト高の逆風の中、2023年はじめには代替肉事業の不振で減損損失を計上赤字転落。

さらに株価が下がったところで、砂糖税のニュースでさらに急落。一時7ペソ台まで落ちました。

そこから反転して、現在は8ペソ台の水準です。

その他

以上、イマイチなじみがなかったモンデニッシンについて調べてみました。

国内市場は堅調、小麦価格も大分おちついてきたし、株価はそろそろお買い得?のような気もしますが、どうなりますか。

あと、最近フィガロ・コーヒー(FGC)にも出資してました。

Acquisition or Disposition of Shares of Another Corporation (2023/1/26)

Figaro and Monde Nissin execute deal for 15% stake (2023/2/3) 去年ずっと0.6ペソ付近だったのに、1ペソは大判振る舞いか?

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