Aブラウン・カンパニー(A Brown Company, Inc. 証券シンボルBRN)について調べてみました。なお、証券シンボルはABCでなくBRNです。
フィリピン株 本社マップでマニラ以外の会社で気になって少し調べてみました。
ポイント
- ミンダナオの不動産デベロッパー
- 発電事業の収入も大きい
- 営業キャッシュフローマイナス
事業内容
Aブラウンは不動産デベロッパーです。ミンダナオのカガヤンデオロの会社で、ミンダナオ地盤に、住宅を開発、販売しています。また発電事業、農業など多くの事業に投資しており持ち株会社のようになっています。
2022年の年間レポートのセグメント情報を見ると、発電事業(Power and utilities)が、不動産事業(Real estate development)と同じ程度の利益をかせいでいるのがわかります。
発電事業
発電子会社、関連会社を複数保有していますが、20%を保有する関連会社のPeakpower Energyからの利益が大きい?ようです。この会社はミンダナオでディーゼル、石炭火力発電を行っています。
Vires Energy Corporationはバタンガスで500MWのFloating LNG発電を行っていますが、2022年は赤字。
不動産事業
カガヤンデオロなど北ミンダナオ中心に多くの住宅プロジェクトを手掛けています。低層住宅中心ですが、高層住宅(コンドミニアム)の物件も計画中です。
参考
Annual Report → 2021 ABCI Annual Report (会社Webサイトにプレゼン資料あり、2022年度がない?)
その他の事業
他のユニークな事業として、放射線関連のビジネスを行っています。子会社のIrradiation Solutions, Inc(ISI)で、E-Beamという殺菌施設を運営しています。また、これと関連してると思いますが、ロシア企業と原子力関連の技術で提携しています。
A Brown, Russia’s Rusatom Sign Agreement (2017/7/21)
もしフィリピンに原発を建設するときにはBRNが関連してくる可能性は・・・小さいと思いますが、原発関連銘柄として覚えておくとよいかもしれません。
バリュエーション
2022年の年間レポートを見ると、EPSは0.27、BPSは2.2となっています。配当は長年ゼロで無配。現在の株価0.72ペソから計算すると、PER2.6倍、PBR0.32倍となります。PERやPBRを見ると割安に見えます。
営業キャッシュフローマイナス
懸念としては、営業キャッシュフローが2021年以降マイナスです。流動資産(すぐ換金可能な資産)が減って当座比率(Quick Ratio)が0.28となっています。
キャッシュフロー計算書を見ると、不動産在庫が積みあがっており、住宅を建てまくってるようです。今後の住宅不足(17-A 2022 P67)を見込んでの積極的な先行投資だとは思いますが、何とかショック的なものが来たら資金ショート、黒字倒産の懸念があるかもしれません?
(CLIも何年の営業キャッシュフローマイナスでしたが、事業拡大してるし、うまく事業がまわってれば大丈夫?なお、財務諸表読んで企業分析的なことは初心者の私の意見ですので、まぁ参考適度に)
キャッシュフロー以外の負債の量は問題なく、SimplyWallSTの財務健全性指標は5/6点(健全)という判定になっています。
時価総額
時価総額は約17臆ペソで小型株です。中堅以降の不動産セクターの中では、ARAやLANDと同じくらいの時価総額です。
資本構成
株主構成では、会長のWalter W. Brown氏が21.15%、配偶者のAnnabelle P. Brownが8.66%、(明確な記述が見つかりませんでしたが名前的に多分Brownファミリーの会社)Brownfield Holdings Incorporatedが35.52%を保有しています。
なお、優先株BRNPを発行しており、優先株は年7%の配当を出しています(BRNの普通株は長年無配)。
会長のWalter W. Brown氏は、APX(Apex Mining)の名誉会長、AB(Atok-Big Wedge)の副社長でもあります。
Marketscreener – Walter W. Brown
株価チャート
株価はコロナの急落から反発したあとじり下げかヨコヨコといった感じです。
まとめ
以上、BRNについてまとめてみました。売上が伸びているのに割安でお買い得に見えます。営業キャッシュフローに一抹の不安。あと配当が出てないのが残念。
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